HOME きょうだい構成で性格は変わるか? 一卵性双生児の性格が同じでないのはなぜ?

一卵性双生児の性格が同じでないのはなぜ?

双子の3割程度を占めるといわれる、一卵性双生児。1つの受精卵が偶然に分裂したことで生まれた彼らは、DNAの塩基配列が基本的にまったく一緒であり、さながら互いのクローンのようなイメージがあります。

しかし性格は必ずしも似ているとは限りません。人の人格が作り上げられる過程では、遺伝子だけではなく「環境」も重要な要素だからです。

別々のところで育った双子は、どれだけ似ているのか?

双子 顔かたちがそっくりな一卵性双生児は、いかにも双子という感じで周りの人の注目を集めます。その遺伝子情報は基本的にまったく同じですので、それならば性格も似るのが普通だと思えるでしょう。

しかし双子の知り合いがいる人なら思い当たると思いますが、必ずしも彼らの性格は同じとはいえません。「似ている部分はあるけれど、違うところもたくさんある」と感じることのほうが多いのではないでしょうか?

一卵性双生児を研究すると、人のキャラクターが遺伝子によって決定されるのか、それとも生まれ育った環境や経験などによって作られるのかが見えてきます。

その研究の1つに、「同じ家で育った双子と、別々に育った双子はどれだけ似ているか」を調べるものがあります。たとえばドイツで生まれたジャックとオスカーの一卵性双生児は、生後6ヶ月で離ればなれになりました。そして大人になった彼らを調べたところ、顔かたちはもちろん、ちょっとしたクセや趣味、目立ちたがり屋の性格などはそっくりだったようです。

一方で女性の好みなどの感情にまつわる部分や、身体的な機能が関わってくる活動性の部分では互いに異なる点もたくさんありました。つまり「遺伝子によって似通いやすい部分と、環境のほうが大きく働く部分がある」ことが分かります。

生まれ育った環境が性格に与える影響

環境が性格に与える影響としては、まず「役割の押しつけ」が考えられます。一卵性双生児であっても、たとえばどちらかを兄、もう片方を弟として育てると、互いにそれらしい性格になっていくということです。

特に日本は、きょうだい間の序列をつけたがる民族だといわれています。英語では、年齢に関わらず男きょうだいを「brother」と呼ぶのに対し、日本語ではしっかり「兄」「弟」と区別していることからもそれはうかがえます。

ですから数秒・数分の差で生まれた双子であっても、「あんたはお兄ちゃんなんだから!」と言われて育った子はしっかり者になる可能性が高くなりますし、弟として育てられたほうは甘えん坊な性格になる可能性があるのです。

また「比較された経験」によっても性格は変わってきます。たとえば一卵性双生児でも、顔かたちにわずかな違いが見られることは珍しくありませんし、勉強の成績もまったく同じというわけではないでしょう。

そこで周りが「こっちのほうが優れているよね」というような言葉を無神経にも口にしてしまうと、それを聞いて育った双子の性格はやはり違ってくるのです。特に一卵性双生児だからこそ、比べられて優劣をつけられることのショックは非常に大きいと考えられます。

遺伝子が性格に与える影響

一方で、遺伝子情報にも性格を決める要素は確かにあります。たとえば「DRD4」という、神経伝達物質のドーパミンの受容体に関係する遺伝子があるのですが、これは世界で初めて発見された「性格遺伝子」として知られています。 アメリカの研究チームによれば、DRD4の繰り返し回数が多い人ほど、新しいもの好きであることが分かったそうです。

他にも、性格に関わる神経伝達物質としては「セロトニン」もあります。うつ病の原因としても知られるものですが、「セロトニントランスポーター遺伝子」の型が「SS」「SL」「LL」の3種類あり、SS>SL>LLの順番で心配性な性格になりやすいことが分かっています。 ちなみに日本人はS型を持つ割合が多く、全体的に心配性な人が多いようです。

このように、遺伝子によって神経伝達物質の働き方がある程度決まっており、それが性格のパターンを決定づけるという側面は確かにあります。もちろん遺伝子がすべてではありませんが、おおよその傾向はあるということでしょう。

双子の能力はどのようにして決まる?

ちなみに双子の頭脳に関しては、面白い研究結果が出ています。 双子にIQテストをしてもらったところ、「空間」に関する問題ではなんと70パーセントのシンクロ率が確認されたのに対し、「言語」に関する問題ではわずか14パーセントだったとのことです。 つまり幾何学的な能力は遺伝によるところが大きいけれど、語学力は生まれ育った環境の影響が大きいということになります。

また運動能力については、足の速さや跳躍力などの基本的な身体能力は遺伝的要素が強い一方、特定の競技における才能やバランス感覚、動体視力などは後天的な要素が強いといわれています。つまり後者のほうは「訓練によって磨かれる部分が大きい」といえるでしょう。

まとめてみますと、人のキャラクターや能力は遺伝的要素と環境的要素のどちらの影響もあり、その微妙な配分具合で決まるといえそうです。どんなに遺伝子操作が発展しても、この世に「まったく同じ人間」を作ることはほぼ不可能ということですね。