HOME 世界のこども事情 福祉の国、スウェーデンの少子化対策とは?

福祉の国、スウェーデンの少子化対策とは?

スウェーデンの少子化対策 福祉の手厚い国として知られているスウェーデンは、幾度かの少子化対策を経て、現在も先進国の中では高い出生率を実現しています。子育てのための経済的支援、そして働きながら子育てしやすい環境整備に取り組んできた結果だといえるでしょう。

1度失敗した!?スウェーデンの少子化対策

スウェーデンの出生率は、現在およそ1.9人。これは先進国の中でも高い数値です。 しかしそんなスウェーデンも国の発展を受け、1980年代には出生率が「1.6」にまで低下したことがありました。そこですみやかに対策を練った政府は、まずは各種手当を導入し、「お金がないから子どもを産めない」ということがないようにしました。また婚外子(未婚カップルの間に生まれた子ども)に対しても、嫡出子(夫婦の間に生まれた子ども)と同じ扱いにするなどの法改正もおこなったのです。

その結果、1990年代前半には出生率が「2.0」を越え、先進国の中でも最高水準となりました。これを「スウェーデン・モデル」として、同じく少子化に悩む国々が参考にしたほどです。

しかし1990年代も後半になると、国の財政が悪化し、各種手当を一部廃止したり減額したりすることになりました。その結果、2000年には再び出生率が「1.5」にまで下がってしまいます。これは、手当金の給付という「ばらまき政策」の限界をよく示した事例といえるでしょう。

そこで政府は、今度はお金をばらまくだけではなく、イギリスをモデルに「男女が共に働きながら育児ができる」環境を整備します。このような抜本的な改革をおこなった結果、出生率は再び上昇し、現在でも1.9を維持しているのです。

スウェーデンが見習ったイギリスの少子化対策とは?

スウェーデンが手本にしたイギリスでは、どんな対策がおこなわれているのでしょうか? まずイギリスでは「子育てにほとんどお金がかからない」ことが最大の特徴となっています。たとえば、医療費はもともと歯科治療などの一部を除きすべて無料ですので、もちろん出産費用もタダです。学校も公立に通う限りは、学費が高校まで無料となっています。

また消費税率の高いイギリスではありますが、子ども服の購入に際しては消費税が免除されます。その他シングルマザーに対する手当も厚く、住む家も格安で政府から支給されるなどして、女性1人でも子育てしやすい環境となっています。

また育休制度も日本よりずっと整っていますし、父親も育児のために仕事を休める休暇制度があります。ブレア前首相も、子どもが生まれた時に数週間の育児休暇をとっていました。

全体的には「手当金のばらまきが少ない代わりに、休暇制度や子育てにかかるお金の免除が多いシステム」だといえそうです。

うらやましい!スウェーデンの育休制度など

ここで、スウェーデンの出産・育児にまつわるさまざまな制度を見てみましょう。どれも日本にはないものばかりです。

1.スピードプレミアム
2人以上の子どもを出産する際、そのブランクが短ければ短いほど優遇される制度です。具体的には前の出産から2年半以内に次の子が生まれた場合、休暇中にもらえる給付金が高いまま維持されます。
たとえば日本の場合、1人目の育休中にもらえる給付金はそれなりに高いものの、2人目になると所得水準が下がるために給付金は1人目よりもかなり低くなります。これを防ぐために、子どもを産む間隔をあえて空けて、所得水準を回復してから2人目を産む人もいるほどです。 スピードプレミアムは、こうした問題を解決するために導入されています。

2.サムボ制度
サムボとは、いわゆる同棲カップルのことです。スウェーデンには非常に多く、結婚前のお試し期間として多くの人が同棲を経験するといわれています。 この間に生まれた子に対しても法的に差別することなく、夫婦間に生まれた子と同じ権利を保障する制度です。

3.育児休暇中の手当金の充実
スウェーデンでは、育休中にもらえる給付金は、休業する直前の所得の8割です。これを390日間も受け取ることができます。 ちなみに日本では、給与の67パーセントを180日間支給、その後子どもが1歳になるまでの間は50パーセントの金額が支給されることになっています。

4.父親の「出生休暇」制度
妻が出産する際、その立会いや家事・育児のサポートのために、10日前後の休暇を取得できる制度です。その間、給与の8割が支給されます。

5.勤務時間の短縮制度
8歳までの子どもを持つ社員に対しては、両親とも勤務時間を短くできる制度です。不足した給与は保険で補てんされます。

このような充実したシステムによって、スウェーデンでは多くのカップルが働きながら子どもと触れ合う時間を持っているようです。

スウェーデンの学費は、大学まで無料!

またスウェーデンは、教育費がほとんどかからない国としても知られています。 まず小学校から大学までほとんどの学校が公立です。入学金や授業料が無料なのはもちろんのこと、教材費や給食費なども基本的にかかりません(高校では発生することもあります)。また大学はすべて国立であり、スウェーデン人もしくはEU国籍の人であれば学費は無料です。

ちなみに近年、私立の学校も増えてきたようですが、政府が公立と同等の助成金を出しているため、私立であっても学費が無料となっています。これも日本では考えられないことでしょう。

先進国では、「教育費を考えると子どもをたくさん産めない…」と躊躇してしまう人が多いのですが、スウェーデンのようなシステムならその心配がありません。もちろん、そのぶん税金が高いことは周知の事実です。