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フランスの出生率が上がったのはなぜ?

フランスの出生率は約2人(女性1人あたりが産む子供の数)に

フランスの出生率が上がったのはなぜ?日本、台湾、韓国などは一人当たり1人をようやく超える程度、ヨーロッパ諸国の平均でも1.5人程度です。どの国も現在の人口を維持するのがやっとな状況のなかでフランスは30年前に比べて1000万人も人口を増やしているのです。1994年には1.65まで下がっていた出生率が2010年には2人を超えたという短期間での大躍進には何が原因しているのでしょうか。

子供ができてもキャリアを失わない制度

日本やアジア諸国では子供ができたら仕事をあきらめる人も少なくありません。しかしフランスでは妊娠した社員には妊娠前後で計4か月の有給休暇を与えられるという制度があります。

さらに2人以上の子供のいる親から希望があった場合、企業は3年間の育児休暇を与えなければなりません。しかも復職後は休暇前と同じポジション、同程度の給与が保障されています。休暇中は給料が支給されませんが、国から500~600ユーロの手当が支給されます。

保育環境が充実している

前述のとおり育児休暇が充実していますが、それをフル活用する人はほとんどいません。子育て世代である30代の女性の80%は仕事をしている状態です。

では、子供はどこに預けているかというと3歳以上なら無料で入れる幼稚園があります。

それより小さい乳幼児は、保育園かベビーシッターに預けることになります。

フランスでも乳幼児の保育施設はまだ充実しておらず、保育園に入所している子は20万人、それ以外はベビーシッターに預けられるのがほとんどで、その数50万人にも及びます。(2005年内閣府調べ)ベビーシッターの方が2.5倍も多いのです。

フランス政府は設備投資のかかる保育園よりベビーシッターを増やすことに力をいれています。政府公認であれば、一定の給与が保障され、医療費がほぼ免除になるなどの高待遇を受けています。利用する側も政府から補助金をもらうことができます。

手厚い家族手当

2人以上の子供を養育する場合は、20才になる直前まで家族手当が支給されます。(所得制限なし)子供の数に応じて金額が上がり、11才以上の教育費がかかる年代になるとさらに上乗せされます。

所得制限はありますが、3歳未満の子供には乳幼児基礎手当、第3子からは家族補足手当、新学期手当など各種の給付金があります。

父親が家事に協力的

毎日料理をする夫は東京では3%なのに対してパリでは26%にものぼります。食事の後かたづけを毎日する男性は東京では8%なのに対してパリでは49.5%もいます。

これはフランスと日本においての男女の役割分担意識のちがいによるものと思われます。例えば、「夫には収入を得る責任がある」という項目で、東京の男性は賛成・まあ賛成が合わせて95%以上いるのに対し、パリの男性は26%程度です。

「子供が小さいうちは母親は家にいるべきだ」という項目では、東京の男性は賛成・まあ賛成に86%、一方パリでは30%ほどしかいません。

パリの男性は女性も働くのが当たり前と考え、同じように働くなら自分も家事をやるのは当然と考えているようです。

日本は男女とも男性が外で働き、女性が子育てと家事を受け持つという意識が高いという結果が出ています。

日本でも同じようにできるのか?

保育施設や手当の充実はこれから進めていくべき課題です。しかし前述のアンケート結果を見ると日本は他国に比べて明らかに男女の分業意識が高く「母親が家にいるべき」という考え方が当の母親自身にもあり、もちろん男性や世間にもあります。

そこで仕事をしたい女性が子供をあきらめるという事態がおこるのは当然といえます。こういった意識は国民性ともいうべきものなのですぐに変えるのは難しいでしょう。

別のアンケートによると日本の女性は料理や洗濯をほとんどの人が毎日行っていますが、フランスや他のヨーロッパ諸国だと毎日する人が50%を切る国もあります。日本では家事をまめに行う習慣があるため、女性の負担は他の国より大きくなります。

また、フランスではベビーシッターが普及しているといいましたが、その多くは移民でフランス語を流暢に話せない人もいるようです。政府公認のシッターは60時間程度の講習を受けていますが、非公認の場合、講習を受けることもありません。ベビーシッターの保育の質に関して、フランスの母親は不満を抱きつつも預けているのが現状です。

日本ではベビーシッターがさほど普及していないため、個人に預けることに慣れていません。預け先には慎重になると思われ、文化の違うフランスと同じようなやり方では日本人の感覚に合わないでしょう。

もし保育環境を充実させるのであれば、しっかりした保育方針をもった施設をより多く作ること、質の良い保育ママを増やすなど、保育環境の質を重視しなければ母親たちは安心してこどもを預けることができません。

政府はフランスの出生率の上昇に目を付けてかなり研究しているようですが、フランスのよいところから学びつつも、日本人の子育て感に合ったやり方を検討してほしいものです。,?