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自由の国、アメリカの出産と子育て事情

アメリカの出産と子育て事情 世界第3位の人口を持つアメリカにも、少子化の波が押し寄せています。国が繁栄すればするほど養育費が高くなり、子どもをたくさん産めなくなることは、日本も含め先進国がぶつかる壁のようなものです。 またアメリカの出産や子育て事情もリサーチしてみました。

近年、出生率が下がり続けているアメリカ

人口が3億を越えるアメリカは、先進国の中でも「出生率が安定している国」としても知られてきました。合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの平均数)を見ると、1980年代には「1.8」くらいでしたが、1990年代になってからは「2.0」を越えるようになり、2007年には「2.12」という数値をマークしています。 これは「1.2~1.4」の間をうろうろしている日本と比べると、かなり高い出生率だといえるでしょう。

しかし2009年に「2.0」をマークすると、その後は連続して減少していき、2011年からはついに1980年代と同じ「1.8」に逆戻りしています。それでも日本と比べると高い数値ではありますが、連続減少していることは注目に値します。

養育費が高すぎて、子どもの数を産めない!

アメリカでここ数年、出生率が減少している原因としては、日本と同じく「養育費の高さ」が考えられます。 国が文化的、経済的に発展すればするほど、教育費などの子どもにかかるお金も増えていくものです。実際、「もっと子どもにきょうだいを増やしてあげたい」と思っていても、家計がそれに追いつかないためにあきらめざるを得ない親はたくさんいます。

その影響を特に受けているのが、ヒスパニック系などの移民だといわれます。もともとアメリカの出生率が高いまま維持されてきたのは、移民がアメリカで出産していたことが大きな理由です。

移民の国であるアメリカでは、アメリカで生まれた子どもはすべて無条件にアメリカ国籍を取得できますので、そうした子どもたちの数がカウントされて出生率が高いままだったという事情があります。 しかし子育てにやたらとお金がかかってくると、安い賃金で働く移民の家庭では経済的に子どもの数を産めなくなってしまいますので、それが出生率の減少につながっているようです。

アメリカの出産事情~無痛分娩+短期入院が基本

ちなみにアメリカの出産事情は、日本とはかなり異なります。よく「入院日数の短さ」が指摘されますが、それは事実で、普通分娩なら1~2泊で退院することが普通です。 帝王切開の場合でも、せいぜい3~4日といわれています。

これはもちろん、アメリカの医療費の高さが大きな原因ですが、そもそも「お産は病気じゃない」という考え方が強いことも関係しています。自然の営みであるお産で、1週間も入院する必要はないということです。

しかし一方で、自然な営みとは程遠い処置がおこなわれるのもアメリカの特徴です。アメリカでは無痛分娩が主流であることはよく知られていますが、それも「なぜ薬で痛みをなくせるのに、わざわざ痛みに耐えて産まなくてはならないの?」という考え方が根づいているからです。

また無痛分娩にすることによって、体力の消耗を抑えることができ、結果的に入院日数を短くできるというメリットもあるようです。帝王切開後も、アメリカでは日本より積極的に痛み止めの処置をおこないますので、それだけ回復が早くなるといわれています。

アメリカの子育て事情~コミュニティと民間企業が育児を支える

先進国の中でも高めの出生率を維持してきたアメリカでは、さぞかし育児の環境整備が進んでいるのだろうと思われますが、実際は国が子育てに力を入れているわけではありません。そのあたりは、フランスや北欧の国々とは比べ物にならないくらいお粗末といっても過言ではないようです。

自由の国アメリカでは、その役割を担ってきたのは民間企業です。映画などを観ていても、アメリカの家ではベビーシッターのサービスをよく利用していますが、国の代わりに民間の企業が子育てのための環境を整備してきたのです。つまりビジネスですね。

実際、アメリカでは公立の保育園などは少なく、多くの親が「デイケア」と呼ばれる民間の託児所に子どもを預けています。また会社の中に託児所を設けるところも多いですし、子育て中の社員に対しても理解が深いといわれています。

とにかくアメリカでは、医療にしても子育てにしても「国があまり面倒をみてくれない代わりに、互いに助け合う」という文化が根づいており、ある意味では「子どもと親に(コミュニティが)優しい国」といえるのかもしれません。 ベビーカーを押している女性に対しても、アメリカではわりと普通に多くの人が手を貸してくれます。「混んでいる電車にベビーカーで乗るな」という論争が起こっている日本とは、かなりの違いのようです。

アメリカで、子どもだけで留守番させるのは違法!

他にアメリカと日本の大きな違いとしては、子どもたちの安全に関する意識が挙げられます。 よくベビーシッターを利用するアメリカ人が多いのは、「アメリカでは子どもたちだけで留守番させることを禁じているから」という理由もあるのです。州にもよりますが、一般的には12歳までの子どもだけで留守番をさせることは違法とされています。 日本のように「ちょっと近所へ買い物に行くだけだから…」と短時間、留守番させるだけでも、近所のおばさんが通報して警察が駆けつけてしまうことがあるほどです。

またショッピングモールなどでも、子どもだけを遊び場に残して親が買い物をするようなことは許されませんし、子どもだけで車内にいさせることも違法です。 これは誘拐や事故などを防止することはもちろんですが、児童虐待に対して昔からかなり厳しい国であることも関係しています。たとえば子どもだけの留守番中に火事が起こった場合、アメリカではネグレクトとして親が逮捕されるのです。