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日本の子どもの出生率が下がった理由とは?

子どもの出生率 毎年注目される子どもの出生率ですが、今の日本では低い状況にありますが、昔の女性は多産だったことは周知の事実です。なぜ昔の日本では子どもがたくさん生まれていたのか、そしてなぜ今の女性は産まなくなったのか(もしくは不妊に悩むようになってしまったのか)について考えてみましょう。

戦後の女性が産む子どもは、平均4.5人だった!

1人の女性が一生に産む子どもの数を表した数値を、「合計特殊出生率」といいます。2013年の日本女性の合計特殊出生率は1.43で、前年よりわずかに高かったようです。

しかし先進国においては、国の人口を維持するためには2.08が1つの目安とされていますので、日本はまだまだ低い状況にあるといえるでしょう。

一方、戦後の1947年のデータを見ますと、合計特殊出生率はなんと4.54となっています。ちょうど団塊の世代が生まれたころですので、この数値は特に高いほうなのですが、現在と比べて約3倍の開きがあることは驚きです。

今と昔の違いその1~女性の社会進出

なぜ昔の日本女性は多産だったのかと考えると、1つは「女性の社会的な立ち位置」が挙げられます。 当然ながら昔の女性たちの社会的地位は今よりも低く、キャリアの道に進むのはほんの一部の人たちでした。その他多くの女性は、なるべく早くに結婚して家庭に入り、子どもを持つことが当たり前だったのです。そこに疑問の余地はあまりなかったのでしょう。

ところが1980年代に男女雇用機会均等法が制定され、女性も男性と肩を並べて働くことが当たり前になりました。この洗礼をまともに受けたのが、いわゆる「バブル世代」や「団塊ジュニア」世代の女性たちです。

本来なら団塊ジュニア、つまり団塊の世代の子どもたちが出産適齢期を迎える1990年代半ば~2000年代前半ごろには、大きなベビーブームが到来してもおかしくありませんでした。実際に企業側もそれを見込んだ戦略を立てたりしていたのですが、実際は出生率がまったく上がらず、「消えた第三次ベビーブーム」といわれています。

さらに深刻なのは、男性と同じように働くことを推奨される一方で、出産にタイムリミットがあることについてはほとんど語られてこなかったことです。最近になってようやく「卵子の老化」が注目されるようになりましたが、団塊ジュニア世代の女性たちにとっては寝耳に水で、気づいた時にはなかなか子どもを授かれなくなっていた、という状況に追い込まれています。これが不妊問題の一因でもあるのです。

今と昔の違いその2~食事や生活習慣

他に考えられるのは、昔と今の生活形態の違いです。 たとえば食生活を見ると、戦後の貧しい時代よりも今のほうが圧倒的に栄養価は高く、一見すると妊娠や出産には有利なように思えます。しかし実際は、過剰なカロリー摂取が健康を悪化させ、妊娠しにくい状況になっているともいわれるのです。

また素朴な食事をしていた昔と違い、今は食品添加物を避けられない時代になっています。そのようなところからも、現代の女性の体は昔よりも妊娠しにくくなっているのではないか、と指摘されているようです。

さらに運動量も異なります。昔は今のような優れた家電がなかったため、家事をすべてこなすだけでもかなりの労力が必要でしたが、それが女性たちの体をきたえることにもつながっていました。 一方、現代の女性たちは総じて運動不足であり、それが骨格や骨盤に影響したり、冷えをもたらしたりしているといわれています。

他にも、パソコンやゲームの普及で生活リズムが乱れたり、仕事のストレスを抱えたりしてホルモンバランスが悪くなっていることも見逃せません。こうした生活の違いが、結果的に妊娠率の違いにもつながっている可能性があります。

今と昔の違いその3~乳幼児の死亡率

もう1つ考えられる要因が、乳幼児の死亡率です。 戦後間もないころは、まだまだ感染症などによる乳幼児の死亡率が高く、子どもをたくさん産んでもそのうち1人か2人は幼くして亡くなってしまうことも珍しくありませんでした。たとえば1950年の乳幼児死亡率(5歳までに子どもが亡くなってしまう確率)は5パーセント、つまり100人中5人は5歳以下で亡くなっていたことになります。

実際、世界どの国を見ても乳幼児死亡率が高い国ほど、出生率も高い傾向にあります。つまり子孫を十分に残すためには、多く産む必要があるということです。

日本では医療の発展とともに乳幼児死亡率は下がり続け、現在では5歳までに亡くなる子どもは、1000人中3人ほどといわれています。こうした変化によって数をたくさん産む必要がなくなったことも、出生率低下の一因と考えられます。

本当はもっときょうだいを産みたい女性たち

ただし合計特出産率は、あくまですべての女性を対象にした平均の数値ですから、実際に子どもを産んでいる人は「1.43人」以上産んでいます。たとえば2005年の調査では、1歳以上の子どもがいる女性の平均出産数は「2.22人」となっており、2人くらいは産んでいる計算になります。

つまり「1人も産まない女性」が増えたのであって、産む女性は2人以上のきょうだいを産んでいることのほうが多いのです。 また多くの女性がもっと産みたいと思っているものの、「お金がかかる」というシビアな理由でそれ以上の出産をためらっていることも調査で分かっています。現在は大学進学が当たり前になり、子どもを育てるのにお金がかかるようになったからでしょう。 今後、日本の出生率を上げていくためには、こうした若い夫婦をサポートする体制が求められていくことになりそうです。